自衛隊ジェット機が、目に見えない正体不明の飛行物体に激突し、墜落したのをレーダーでキャッチした天野二佐は、直ちに幕僚たちに事故状況の説明をするが信じてもらえなかった。その数日後、地球上に不思議な事態が発生した。一瞬のうちに人間が、神隠しにあったように消えてしまうのだった。さっそく淳は、解任をされた天野とともに飛行物体の出た地点へ向った。だが、半透明のゼリー状液体にふれた淳の姿が突然消えてしまう。一方、由利子は偶然写真におさめた液体が、人間を消す因であることを確認していた。そのために、由利子の身辺にも例の液体が発生し襲いかかろうとしていたのだ。由利子の危険を知り、警察は宇田川老刑事を警護に送った。一平が連絡して来たところによると、この現象が神田博士の著書「二〇二〇年の挑戦」にあるのと似ており、消去エネルギー源の液体は可燃性で、しかもケムール人の意志力で運動するというのである。由利子と宇田川刑事は、近づいた液体に火を落すと、一平の云ったとおり燃え上った。と、その時、潜水ジャケットのようなもので全身をおおった、表情のない人工皮膚の顔を持つ男が逃げ出した。それは液体をあやつるケムール人だったのである。消去された淳たちを救うために、一平たちは神田博士のもとへ、解決法をたずねに向ったが、すでにケムール人に連れ去られた後だった。神田博士と親友だという宇田川博士によると、淳たちは二〇二〇年という未来の時間を持つ星へおくられるという。肉体の退化したケムール人は、人間の身体を使って生まれ変わろうと企んでいたのだ。
「ウルトラQ・あらすじ集」より引用