ドライブにでかけた淳と由利子の二人は、途中の路上で横たわる男をひろった。その男、沢村正吉は意識をとりもどすと、いきなり「あけてくれ!降してくれ!」とあばれだした。沢村の狂人めいた様子に不審をもった淳は、一の谷博士に彼をみてもらうことにした。さっそく一の谷博士の助手本多が、催眠術療法で沢村から事情を開きだしてみた。それによると、沢村の乗っていた電車が突然上空へ向けて走りだし、それを知ってあわてて降りようとしたが、ドアが開かなかったというのだ。もう一人、沢村と同じ症状の婦人が一の谷博士のところにおり、沢村と婦人のうわごとを合わせてみると、どうも同じ電車に来りあわせていたことになる。だが、淳たちは電車が空中を走るなど考えられないことだった。しかも、ふたりとも電車の中で推理作家、友野健二に合っていると云う。友野の推理小説の中には「時間と空間を超越した世界」へとつぜん落ちこむと云う人間喪失の、謎めいたものが多かった。そこで由利子たちは友野をたずねて、こんどの問題をさぐろうと考えた。しかし、家政婦松代の話によると、当の友野も一年前ほどから失踪していて、どこからか原稿が家へ送られてくるだけと云うのだった。友野家をたずねた帰り道、友野の声とともに、淳たちの車の中に彼の原稿が発見され、その原稿には友野が発見した未知の別世界が描かれていた……。
「ウルトラQ・あらすじ集」より引用