作品解説「ウルトラQ」は、1話完結のアンソロジー(作品群)という形式で制作されている。全28本の作品が放送が始まる前にすべて完成されていたという非常に珍しいテレビ作品でもある。企画段階から制作当初まではSF怪奇路線で進められていたが、クランクイン後に担当となったTBSプロデューサー・栫井巍の要望により怪獣路線に統一されることになったといわれている。放送開始日も決めずに制作が始まったことと円谷プロにとって初めてのテレビ作品だったこともあり、監修にあたった円谷英二の目は、たいへん厳しいものだったといわれている。「マンモスフラワー」でジュランが開花する特撮シーンは、何度も撮り直しが命じられ、「宇宙からの贈りもの」のロケによる撮影でも何度も五日市に出向いて撮り直しが行われたといわれている。このような状況下で制作されたことで本格的な特撮を取り入れたテレビ作品としては、完成度の高い作品となったと考えられている。 ≫作品一覧 「ウルトラQ」には、それぞれの作品のストーリーを楽しむほかにもいろいろな角度から楽しむ方法がある。それらは、「ウルトラQ」の製作上の事情が大きく関係している。「ウルトラQ」は、制作当初から海外への輸出を考慮していたため、本編フィルムとサブタイトルや出演者、スタッフのクレジットを焼き込んだタイトルネガフィルムが別に作られた。そのため、後にタイトルネガのみ紛失してしまい、長い間、オリジナルのタイトルテロップを見ることができない状態に陥ったのである。後の再放送やビデオ商品では、独自に作られたタイトルテロップで放送されたり、商品化された。ファンの間では、オリジナルのテロップを探し出すことが「ウルトラQ」の楽しみのひとつになった時期がある。その他にも制作順と放送順が同じではなかったことから制作順を追求するファンもいた。制作順の追求も簡単には判明しなかった。それは、脚本にふられたナンバーと制作順も一致していなかったからだ。作品の内容についてもファンを惹き付けるポイントが数多く含まれていた。さまざまな理由で作品の完成後、リテイクされた作品がでたため、ひとつの作品に複数のバージョン違いが生まれたこと。登場する怪獣は、予算の関係で東宝映画に使われた怪獣の着ぐるみを改造して流用したものが存在したこと。さらには、怪獣の声の流用、東宝映画のライブラリフィルムの流用、東宝映画で使用された劇伴音楽の流用などファンのヲタク心をくすぐる魅力が満載だったのである。そして、ホームビデオなどなかった時期、モノクロ作品だった故にごくまれに再放送される時以外に「ウルトラQ」を見ることができなかったため「ウルトラQ」を幻の作品として語られることになったのである。 タイトルネガに関する追記そもそも当時のタイトルテロップはどんな作品であれ、別フィルムで準備されるものだったと考えられ、そのテロップが焼き込まれたものが完成作品となるのが通常だったと思われる。「ウルトラQ」も日本で放送されるものについては当然タイトルテロップが焼き込まれたものが各放送局に送られた。考えてみれば、他の作品同様に放送用に準備されたマザーフィルムのようなものが現存していてもおかしくはないと思われるのだが…。「ウルトラQ」が、後の「ウルトラマン」以降と違う点といえば、タイトルテロップが入る前のフィルムが16mmではなく35mmだったことがある。そのために保存されるべきはタイトルテロップの入っていない35mmフィルムとされたことがタイトルネガフィルムの軽視につながった可能性もあるのではないだろうか。 ちなみに本放送において、放送局で「空想特撮シリーズ」のテロップや次回予告のナレーションが生放送で載せられたとも言われている。そのため、本編に使われなかったゴミフィルムから作られたと言われる予告編は、ほとんど残っておらず、残っていてもナレーションは含まれていない。 企画から制作作品路線の変更「ウルトラQ」の前身「UNBALANCE」は、企画の段階からSF怪奇路線で考えられていた。その路線で制作が開始された「UNBALANCE」は、TBSプロデューサー・栫井巍の要望により怪獣路線に統一されることになった。この路線変更の時期については、はっきりした記録は残っていないようだが、プロデューサーが、渋沢均から栫井巍に変わった後(昭和39年(1964年)晩秋)であること、さまざまな文献によると路線変更のきっかけとなったのが、「宇宙からの贈りもの」の試写を見た後であるとされていることから昭和39年(1964年)11月中旬ごろではないかと推定される。その裏付けとして、11月以降に制作された脚本のタイトルが、「ウルトラQ」名義になっていることがあげられる。 番組タイトルの変更「UNBALANCE」というタイトルで制作がスタートした「ウルトラQ」は、作品の路線変更に伴ってタイトルを「UNBALANCE」から「ウルトラQ」に変更したとされている。しかし、円谷プロの支配人・市川利明のノートには、路線変更が告げられたと考えられる昭和39年(1964年)11月中旬以前の昭和39年(1964年)10月中旬に「ウルトラQ」というタイトルが記載されていることから、路線の変更とタイトルの変更は、別々に検討されていた可能性もある。 番組タイトルの由来番組タイトルの由来については、「円谷英二 日本映画界に残した遺産/小学館刊」に掲載された「ウルトラの名付け親」に昭和39年(1964年)10月に開催された東京オリンピックの体操競技でNHKの鈴木アナウンサーが連呼して流行語にもなった「ウルトラC」という言葉にヒントを得て、TBSのテレビ制作局の岩崎嘉一氏が思いついたとされている。その中で「ウルトラ」と「クエスチョン=Question」の「Q」の合成語として誕生したのが、「ウルトラQ」であると紹介されている。 制作費「ウルトラQ伝説/アスペクト刊」の市川利明のインタビューなどによると「UNBALANCE」の制作が決定した時のTBSとの契約は、最初の1クール(13話分)が、7千万円で契約されたとされている。そのことから、30分の白黒作品1本で538万円となる。それらのことから単純に考えるとTBSが、「ウルトラQ」の制作に使った金額は、1本538万円×28本とオプチカルプリンタの購入費4千万円の合計1億9千64万円だと考えられる。 「ウルトラQ伝説/アスペクト刊」によると、当時のテレビ番組は、30分もので150万円前後、1時間もので300万円前後が相場、と紹介されている。 「ファンコレNo.2/朝日ソノラマ刊」によると、当時のテレビ映画・30分の作品で制作費約110万円から170万円、1時間の作品で約300万円から350万円と紹介されている。 「ウルトラQ LDメモリアルボックス」の解説書によると当時のアニメーション「スーパージェッター」(TCJ制作)30分が約230万円、白黒版・初代「オバケのQ太郎」(東京ムービー制作)30分が約270万円、テレビ映画(白黒)30分が約300万円と紹介されている。 脚本「ウルトラQ」の現存する脚本には、脚本No.が重複している物が存在する。 脚本No.4は、「UNBALANCE」版の「幽霊自動車」と「ウルトラQ」版の「206便消滅す」が存在している。これは、「UNBALANCE」の怪奇路線から「ウルトラQ」の怪獣路線への変更により、「幽霊自動車」の制作が見送られたために「206便消滅す」が繰り上げられたのが原因である。 同様の理由から脚本No.5には、「UNBALANCE」版の「206便消滅す」と「UNBALANCE」版の「宇宙からの贈りもの」がある。 脚本No.8は、「タローの絵本」と「育てよ!カメ」というふたつのタイトルが存在する。この「タローの絵本」は、「育てよ!カメ」の準・準備稿という位置づけである。 脚本No.9も同様に「空想都市」と「1/8計画」というふたつのタイトルが存在する。この「空想都市」も「タローの絵本」と「育てよ!カメ」の関係と同様の位置づけである。第2クールの最初の作品となる脚本No.14は、実際に制作された「南海の怒り」と未制作に終わった「火星のバラ」のふたつがある。 脚本No.18は、「SOS東京」「Oil S.O.S」「宇宙指令M774」の3つの脚本が存在している。「SOS東京」は、「Oil S.O.S」の準・準備稿、「宇宙指令M774」は、「Oil S.O.S」の制作中止によって脚本No.が、No.23から繰り上げられたものである。 脚本No.19は、「ガラダマの谷」と「ガラダマ」というふたつがある。 脚本No.21は、未制作に終わったにもかかわらず、番号が繰り上げられていないため、欠番になっている「キリがない」である。 脚本No.23は、脚本No.18の「Oil S.O.S」が撮影直前にキャンセルになったために番号を繰り上げられた「宇宙指令M774」の準備稿である「狙われた星」と「化石の城」「ゴーガの像」の3つが存在している。「化石の城」は、「ゴーガの像」の準備稿。 脚本No.26は、「地底超特急西へ」と「SOSフジ山」が存在しているが、両作品とも制作されていることからNo.の重複である。また、脚本No.なしの脚本として「地底超特急西へ」の準備稿「地底超特急」と「SOSフジ山」の準備稿である「ゴルゴス」がある。 一般に公開された脚本について「ウルトラQ」(「UNBALANCE」を含む)の脚本の中で一般に市販されたり、特典として復刻されるなどして公開されたものは、以下の通り。 「月刊OUT 4月号(昭和54年(1979年))/みのり書房刊」には、No.19「ガラダマ」が掲載されている。 「宇宙船文庫 24年目の復讐 上原正三シナリオ傑作集/朝日ソノラマ刊」には、No.18「Oil S.O.S」とNo.23「化石の城」が掲載されている。 「宇宙からの贈りもの 金城哲夫シナリオ名作集/朝日ソノラマ刊」には、No.11「五郎とゴロー」、No5「宇宙からの贈りもの」、No.10「甘い蜜の恐怖」、No.13「クモ男爵」、No.19「ガラダマ」、No.28「ガラモンの逆襲」、No.9「空想都市」、No.14「南海の怒り」、No.14「火星のバラ」が掲載されている。 「円谷プロ創立30周年CD15枚セット」には、No.11「五郎とゴロー」、No.10「甘い蜜の恐怖」(準備稿)、No.13「クモ男爵」(決定稿)、No.28「ガラモンの逆襲」(決定稿)、No.14「火星のバラ」が復刻され封入されていた。 新番組宣伝特別番組「ウルトラQは怪獣の世界」昭和40年(1965年)12月25日(土)16時からTBS系列で放映された新番組宣伝特別番組「ウルトラQは怪獣の世界」は、「甦れ!ウルトラ黄金時代Qマンセブン!!/竹書房刊」によると全国5局のみの放映だったとされている。これは、この番組が、急遽制作されたため、各局の放送枠が取れなかったためらしい。しかし、広告代理店・宣弘社の当時の担当者によると直前まで銀座周辺にある各地方局の支社をフィルムを持って駆け回っていたとされている。実際には、全国5局以上の放送局で放映された可能性が高い。 RKB(福岡)では、12月27日(月)11時05分から放映。CBC(愛知)では、12月31日(金)9時00分から放映されている。また、TBSでは、12月29日(水)の10時15分から再放映されている。本放送が、昭和41年1月16日(日)からだったRBC(沖縄)では、1月9日(日)19時00分から「ウルトラQは怪獣の世界」を2回繰り返し放映した。 作品のバリエーション「ウルトラQ」の作品の中には、すでに完成していた作品をスポンサーの関係で部分的にリテイクしたものなどがあり、いくつかの作品にバージョン違いが存在する。例えば「五郎とゴロー」の青葉クルミバージョンとヘリプロン結晶Gバージョン。これは、元々、“ヘリプロン結晶G”という薬品のせいで猿が巨大化する設定だったものを製薬会社がスポンサーについたために視聴者に薬品の悪いイメージ与えることを避ける意味で巨大化の要因を“青葉クルミ”という特殊な木の実という設定に変更し、部分的にリテイクしたためにふたつのバージョンが完成作品として存在することになった。スポンサーがタケダ薬品であった本放送では青葉クルミバージョンが放映され、再放送ではスポンサーの絡みがなくなったことからヘリプロン結晶Gバージョンが放映されたといわれている。この他にも出演者のクレジットの出し方が違うバージョンが存在する作品やテーマ曲の長さの違うバージョンが存在する作品などが確認されている。 「五郎とゴロー」パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDに収められている「五郎とゴロー」のテロップは、東映ビデオ版やバンダイビジュアル版LDで使用されていたテロップとは別のバージョンである。パナソニックデジタルネットワークサーブ版では、脚本の金城哲夫と特技監督の有川貞昌、監督の円谷一が単独表示になっている。他のビデオやLDでは、金城哲夫は撮影の内海正治、照明の小林和夫、美術の清水喜代志と一緒に表示。特技監督の有川貞昌と監督の円谷一は一緒に表示されている。また、キヌタ・ラボラトリーの表示順もビデオ、LD版では助監督・満田かずほの下だったのが、一画面繰り上がって美術の清水喜代志の下になっている。 「宇宙からの贈りもの」パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDに収められている「宇宙からの贈りもの」のテーマ曲は、エンディング部分が途切れた状態で終わっている。これは、ネットワークフロンティア事業部版LD、バンダイビジュアル版LDで使用されていたテーマ曲とは別のバージョン(編集が異なるもの)である。東映ビデオ版のバージョンもDVDと同様にテーマ曲が途中で終わっているが、パナソニックデジタルネットワークサーブ版のDVDのものとは別のバージョンが使用されている。昭和59年(1984年)の朝日放送で再放送された「宇宙からの贈りもの」は、DVDと同様にテーマ曲が途中で終わっていたそうだ。 「地底超特急西へ」パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDに収められている「地底超特急西へ」のタイトルテロップの冒頭、東映ビデオ版やネットワークフロンティア事業部版LD、バンダイビジュアル版LDには挿入されていたブレーキ音のSE(効果音)が入っていない。 「鳥を見た」パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDに収められている「鳥を見た」のテーマ曲は、東映ビデオ版やネットワークフロンティア事業部版LD、バンダイビジュアル版LDで使用されていたテーマ曲とは別のバージョン(編集が異なるもの)が使用されている。 「育てよ!カメ」ネットワークフロンティア事業部版LD、バンダイビジュアル版LD-BOX「ウルトラQ」第2巻に収められている「育てよ!カメ」には、東映ビデオ版「育てよ!カメ」に収録されているテーマ曲中に挿入されてた太郎のセリフが入っていない。テーマ曲も東映ビデオ版のテーマ曲とは別のバージョン(編集が異なるもの)が使用されている。なお、ネットワークフロンティア事業部版LDには、東映ビデオ版で収録されているバージョンの太郎のセリフを含むテーマ曲が、別途収録されている。パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDに収められている「育てよ!カメ」は、東映ビデオ版と同じ太郎のセリフが入ったバージョンが使用されている。 「宇宙指令M774」東映ビデオ版「ウルトラQ」第8巻に収められている「宇宙指令M774」には、実際に出演していない「町田佳代子、石坂浩二」のテロップが入っている。これは、バンダイビジュアル版LDやパナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDで使用されたテロップとは別のものである。 「悪魔ッ子」パナソニックデジタルネットワークサーブ版DVDの特典映像として収録されたエンディングナレーションは本放送でのみ使用されたもので、今まで市販されたビデオやLDに収められたバージョンとは別のバージョンである。 劇伴音楽について「ウルトラQ」の劇伴音楽は、すべて宮内國郎によって作曲されたものである。円谷プロの映画作品の音楽担当といえば、伊福部昭が有名だが、「ウルトラQ」の音楽担当の候補には、伊福部昭の名前はなかった。これは、フジテレビで企画が進んでいた「WOO」の音楽担当に宮内國郎が抜擢されていながら「WOO」が、制作開始直前にキャンセルされたことへの穴埋めだといわれている。基本的に「ウルトラQ」に使用されている音楽は、ほとんどが、「ウルトラQ」のために録音されたもので、中には、劇場映画並みにひとつの作品のために作曲、録音された曲も数多くある。たとえば、「育てよ!カメ」「カネゴンの繭」などは、作品中の音楽の大部分が、それぞれの作品のためだけに録音された曲しか使われていない。また、一般によく知られている「ウルトラQ」のテーマ曲だが、「育てよ!カメ」と「カネゴンの繭」においては、そのテーマ曲すら使わず、作品独自のテーマ曲が使われている。 劇中で怪獣の登場シーンなどに多用された曲に東宝映画「ガス人間第一号」の曲がある。もちろん、これも宮内國郎の作曲によるものだが、宮内國郎自身のコメントによると「ガス人間第一号」以外にも他の作品から流用した曲がいくつか存在したようだ。現存する「ウルトラQ」の音楽は、バップから発売されているミュージックファイルシリーズの「ウルトラQ・ミュージックファイル」「ウルトラQ・ミュージックファイルVOL.2」「ウルトラシリーズ・ミュージックファイル未収録編」で、「ガス人間第一号」の音楽は、キングレコードの「空想特撮シリーズ ウルトラマン総音楽集」で、聴くことができる。 テーマ曲のバリエーションウルトラQのテーマ曲は、市販のCDなどによるとM-2と呼ばれているものが、それにあたるが、オリジナルテープには、M-2にもいくつかのバージョンが存在している。現存しているのは、M-2T1、M-2T2、M-2B-1、M-2B-2、M-2B-2T2、M-2T2編集済みOK分の6バージョンのようだ。そのうちのM-2T1は、本編に使用されなかったバージョンである。M-2B-1、M-2B-2、M-2B-2T2は、編集用に部分的に録音されたものだが、M-2B-2は、使用されていないようだ。また、M-2T2編集済みOK分とは、M-2T2とM-2B-1、M-2B-2T2をつなぎ、中間部分を2回Repeatしたものである。それに加えてマザーテープが紛失しているといわれているM-2T2Repeatなしというバージョンが確認されている。これは、キングレコードから発売された「ウルトラQ総音楽集」におさめられているもので、M-2T2編集済みOK分の中間部分のRepeatをなくしたものだ。
各作品でテーマ曲のM-2T2をベースにしたものを使用していないのは「育てよ!カメ」と「カネゴンの繭」である。M-2T2を編集して使用している作品の中で「マンモスフラワー」と「変身」は、純粋にM-2T2編集済みOK分をそのまま使用してる。それ以外の作品を見てみると以下のようになっている。
「宇宙からの贈りもの」これは、DVDでは、M-2T2編集済みOK分を中間部直後で編集してエンディングの直前で完奏する前で終わっている。ただし、バンダイビジュアルからボックスで発売されたLDに収録されたものでは、M-2T2が、使用されている。 「地底超特急西へ」これは、M-2T2編集済みOK分の中間部分のRepeatを削って、M-2T2と同様の構成にしたものである。それなら、最初からM-2T2を使えばいいように思われるが、なぜか、M-2T2編集済みOK分を編集して使っているようだ。 「鳥を見た」これは、M-2T2編集済みOK分のイントロ部分からいきなりエンディング部分をつなぎこんだものである。ただし、DVDは、バンダイビジュアルからボックスで発売されたLDに収録されたものとは、編集するポイントが違っている。 「あけてくれ!」これは、M-2T2編集済みOK分のイントロ部分4小節とばして、使用しているようだ。この「あけてくれ!」のLDの方は、未確認。 「五郎とゴロー」これは、曲の構成としては、マザーテープが紛失しているM-2T2 Repeatなしと同じものなのだが、キングレコードのCDにおさめられているものとは、違っている。キングレコードの曲が、M-2T2編集済みOK分をベースに編集されたものであるのに対して、DVD版の「五郎とゴロー」に使用されている曲は、M-2T2を編集したものである。 怪獣の造型について「ウルトラQ」に登場する怪獣の中には東宝映画などに登場していた怪獣を改造したものや、後に改造されて「ウルトラマン」に登場したものなどが存在する。「ウルトラQ」に登場した怪獣や怪人などを制作された順に羅列してみると次のようになる。
この中で、既存の怪獣を改造して作られたものは、ナメゴン、怪竜、ゴロー、トドラ、ゴメス、リトラ、パゴスの7体。改造された怪獣のオリジナルは以下のとおり。
ラルゲユウスがラドンの改造であるという情報もあるが未確認である。 第1クールに制作された13作品に登場する怪獣は、ほぼ半分が使い回しだったことがわかりる。第2クールに突入すると、その後、数々のウルトラ怪獣を生み出すことになる成田亨が怪獣のデザインを担当。成田怪獣の第1号がペギラだった。以降、ガラモン、カネゴン、ケムール人、ラゴンなど「ウルトラQ」を代表する怪獣たちが次々と成田亨の手によって誕生する。そして、その後、「ウルトラQ」でのオリジナル怪獣は、「ウルトラマン」でさまざまに姿を変えて登場することになる。改造されて「ウルトラマン」に登場した怪獣は以下のとおり。
「ウルトラマン」に登場したラゴンは頭部のみウルトラQ版ラゴンを流用し、ボディ部は新たに制作された。その後、そのボディのみがザラブ星人に流用されたという。 「ウルトラマン」第33話「禁じられた言葉」に登場したケムール人のボディは、その後、「ウルトラセブン」でキュラソ星人(第7話「宇宙囚人303」)に使用された。 東宝映画「海底軍艦」に登場した操演用のマンダが、第12話「鳥を見た」に登場する帆船の舳先の飾りとして使われた。帆船自体は東宝映画「日本誕生」で使われたものである。 怪獣の鳴き声について「ウルトラQ」に登場する怪獣の造形について、東宝映画に登場した怪獣から改造されて使用されたものが存在するのと同じように、その鳴き声も東宝怪獣などから流用されたものが存在する。 ペギラ「ウルトラQ」の中で「ペギラが来た!」と「東京氷河期」の2度にわたって登場したペギラは、「ペギラが来た!」の時と「東京氷河期」の時で鳴き声が違っていまる。「ペギラが来た!」での鳴き声は、2種類の音を重ねてペギラの声に仕立てているが、それぞれの声の元素材が何なのかは判明していない。「東京氷河期」での鳴き声は、東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」に登場したバラゴンの声を流用しているようだ。 ゴルゴス「SOS富士山」に登場したゴルゴスの鳴き声は、ゴジラの声と東宝映画「キングコング対ゴジラ」に登場したキングコングの声を流用している。シーンによって、ゴジラの声とキングコングの声を使い分けている。また、ゴジラの声については、いくつかのゴジラ作品から流用されている可能性がある。「SOS富士山」の制作時期から考察すると東宝映画「ゴジラ(1954)」から東宝映画「怪獣大戦争」までの6作品に使用されたものと考えらる。 バルンガ「バルンガ」に登場したバルンガのSEは、東宝映画「宇宙怪獣ドゴラ」に登場したドゴラのSEを流用しているようだ。 パゴス「虹の卵」に登場したパゴスの造形は、東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」に登場したバラゴンを改造して作られたものだが、その鳴き声は、東宝映画「大怪獣バラン」に登場したバランの声を流用しているようだ。 ケムール人「2020年の挑戦」に登場したケムール人の声は、東宝映画「マタンゴ」に登場したマタンゴの声を流用しているようだ。マタンゴは、群れで登場するため、その声に多くのバリエーションがあり、ケムール人の他にも「悪魔ッ子」のリリーの笑い声やバルタン星人の声にも流用されている。 リリー「悪魔ッ子」の中でリリーの笑い声をSE的に使用されている音は、東宝映画「マタンゴ」に登場したマタンゴの声を流用しているようだ。 2019-12-16更新 お知らせ 作者へのメッセージ Copyright(C) 1997-2024 Kohei Onishi,All rights reserved. |